2024/08/12 16:18


📦檸檬先生(新刊本) 
数字や音に色が見える「共感覚」を抱える小学3年生のわたしと、同じく「共感覚」そして「性マイノリティー」を抱える中学3年生の檸檬先生。彼女には更にもう一つのマイノリティーがあった。それは「大企業の後継者」。もはやこれはマイノリティーですらない「孤独」である。後継者は「男性」でなければならない。であるのに、自身の肉体は「女性」なのである。
少年は檸檬先生によって救われ、檸檬先生は少年を助けているようで実は自身が救われていたのか。
檸檬先生は少年の「オンリーワン」になりたかった。けれど、少年は檸檬先生を「女性」とみていたし、むしろ「共感覚」を長所として芸術の世界へと進んでいく。社会に溶け込んでいく準備ができたところで、思わぬ結末を迎える。
史上最年少の18歳でこの作品が小説現代長編新人賞を受賞した作者の珠川こおりさん。
今後作家以外の活動をするかもしれないと話す珠川こおりさんの多才ぶりに目が離せません。
店主がお店をオープンさせたとき、あまりの衝撃に1番に入荷した作品の1つです。

📦ファルセットの時間(新刊本) 
理想の美少女ユヅキ(女装している16歳の美少年)との出会いが、かつて女装家だった34歳の竹村の日常を大きく変えていく。
ふたりは性マイノリティーではなく、妻や彼女がいるということ。女装家という自分のマイノリティーをパートナーに話せるかどうか、もテーマに大きく関わっている。
竹村が持つ、羨望、独占、嫉妬、失望を重苦しくなりがちなマイノリティーがテーマのストーリーとは思えないほど、日常的に誰の内面にもある普遍的な感情として描かれている秀逸な作品。
竹村はこれから自分に素直に生きていくことができるのか?
その年齢をはるかに超えた店主が、数日考えずにはいられなかった何気ないラストシーン。
店主イチオシの作家 坂上秋成さんのイチオシ作品📘

※この2冊は、少数派が抱えるマイノリティーがテーマですが、何不自由ない豊かな暮らしをしている人も、みんながうらやむ美しさを持って生まれた人も、「普通」に幸せに生きているようで、人とは分かち合えない、絶対に理解されない息苦しさや苦しみを抱えて生きているかもしれないということ。
改めて考えるきっかけになってもらえればという想いで選書しました📚